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# 気にしませんよ、植物は。
家に帰って来て、ころんと横になり本を読み始めたら、いつのまにか眠っていたようだ。日付が変わる頃にお風呂に入ろうと居間を通り過ぎると、熱心に韓国ドラマを見る母がいた。母に言わせると「別に熱心に見てるつもりはないし、面白いとも思わない」らしいのだが、どうだか。お風呂から上がり先ほどの本の続きを読み、読み終え、喉が渇いたので豆乳を飲み再びベッドに入ったのだが眠れず。ただただ暑さだけを感じたので再び起き上がり琉球もろみ酢を飲み、もしかしたら先ほどの豆乳は胃の中で湯葉みたいになってしまったのではないかと思う。このもろみ酢の酸で。もう1冊本を読もうかと思ったが、明日は朝から仕事だ。再びベッドの中でころころしながら、いろんなことを考える。いとうせいこうと伊藤比呂美とあたし(すっかり仲間気分)は園芸の趣味・嗜好が似ているとか。

伊藤比呂美が書いているところによると、それは出自の影響があるのかもしれないと。道ばたに無秩序に並べられて育てられる鉢植え。育てるというか置かれているだけに近い感覚。飼い主は愛情があるのかないのかわからない。それは素敵な鉢に植えられず、時折、発砲スチロールの箱に入っている。枯れているのか生きているのかわからない。伸び放題で異形のものとなったアロエ。恐ろしい生命力で上に下にこぼれるように繁殖している多肉植物。ちなみに我々3人(すっかり仲間気分)の出自は足立区・葛飾区・板橋区。美しく寄せ植えをしているおうちも勿論あるし、あたし自身も家の前には美しい寄せ植えをあしらってみようと目論んでいる。3年くらい目論んでいる。

今、うちの前には紫陽花が咲いている。あたしの背丈くらいの高さ(と言っても、面識のない人はあたしの背丈が80cmなのか230cmなのかわからないだろうけど)と1mくらいの幅に育っている。7〜8年前の母の日に祖母にあげた鉢植えの紫陽花だ。祖母がうちの玄関先に植え替え、そこからすくすく育っている。祖母が死んでもすくすく育っている。立派なガタイと色の濃さは素晴らしく、この時期になると近所のオバちゃんたちが足を止め「あー」とか「まあ」とか感嘆する。もともとその紫陽花の居場所に何があったのかすっかり忘れてしまったが、土の手入れもしたことないような花壇だ。おまけに紫陽花の季節が終わると、父かあたしかパートのおばさんの手により、ざくざくと容赦なく切られる。あまりの乱暴な切りっぷりに、もう翌年は紫陽花が咲かないかもと思うのだが、春を過ぎるとまた暴力的に伸び、暴力的に大きな葉を生やし続け、暴力的に大きな濃い花をたくさん付ける。

あたしのベランダ園芸も暴力的だ。生きているものと死んでいるものが混在し、枯れているものは枯れっぱなしになっている。この乱暴な感じがなんともいえず好きだ。

伊藤比呂美がいとうせいこうのベランダに案内された時の話をこう書いていた。
しかし見ましたのは、死屍累々、どれも悲惨な状態でした。そこには繁茂も繁殖もなく、花も咲いていませんでした。このベランダには、死をいとおしみたい欲望があるように思えました。植物の群れが、その欲望に粛々としたがっておりました。植物と男とは、心中しかけているようにさえ見えました。

うまくいかないのにどうしても買ってしまうというものはあります? とわたしはききました。
シャクヤクです、と園芸家はそくざにいいました。
どうせ滅びるものを、だめに決まってるのに買っちゃって、無意識に、あえて死ぬところに置いてしまうのかもしれません、殺したいのかもしれません、いくつ枯らしたかわからない、これももう抜いてやらないと、といって園芸家は、干からびたシャクヤクの死骸を、わたしに見せました。
気にしませんよ、植物は、とわたしがいいました。
気にしませんよね、植物は、と園芸家がうなずきました。
植物にとっての「死ぬ」は「死なない」で「死なない」は「生きる」なんですもの、とわたしはさらにいいました。
そうですよね、殺してもいいんだ、殺しても、「死ぬ」をかなしいと思いおそろしいと思う人の心は植物にはあてはまらないんだろうな、と園芸家はにっこりとしていい、それから、思い出したように、ぽつんといいました。
タナトスが。
ちょっと黙って、またそっとくりかえしました。タナトスというかね。
そして口ごもりました。ほんとうだろうかそんな馬鹿なことがあっていいのだろうかと自問している心の動きが伝わってきました。

気にしませんよね、植物は。
| comments(0) | trackbacks(0) | 02:57 | category: ハードコア園芸 |
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