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# 講談社現代新書から徒然に
中島英樹さんのエディトリアルを初めて見たのは、十数年前だと思う。「あちゃー、なんじゃこりゃ?」ってくらいかなり衝撃でカッコよく、いまだにデザインが目に焼き付いている。たぶん自分の年齢から下の世代のデザイナーはそういう人が多いのではないかと思う。

数カ月前にエディトリアルデザインの仕事をした。と、言っても勿論デザインする側ではなく、書く方で。愚痴になるので、その仕事のことは控えますが。ひどいもんでした。そのひどい中での収穫が、エディトリアルや装丁の第一人者の方々とお話できたことだった。各特集単位での流れはもちろん、一冊という単位での雑誌の流れまでも考えたデザイン論に、編集者より遥かに編集者だ…と反省し、自分の仕事の仕方を省みるいい機会になった。

最近のいろんな雑誌のページを見せながらお話を伺ったのだが、彼らベテランに言わせると最近のデザインは「エディトリアルというより、ビジュアル重視の広告みたいだね」と。この世代のデザイナーは活字好きが多いのだが「もう読んで欲しくないんだね、きっと」みたいな……。前者では中島英樹さん、後者ではgapがその先駆者だろうと思うのだが、どうなんだろう。ちなみに「中島英樹さんっぽいデザインばっかりだね」というお話は出て来た。文学界における「春樹チルドレン」のように、エディトリアルデザイン界の「中島チルドレン」は本当に多いなあと思う。

なぜこの話を書いているかというと、昨日書いた新書の話の中で、講談社現代新書の中島英樹のカバーデザインが不評なのがはっきりしたからで、でも、中島さんはエディトリアルでは大物なんだよと一応言いたかったから。そこは勿論、中島英樹ブランドであれ、悪いものは悪い。良くないものは良くない。

ずっと講談社現代新書の装丁をされてきた杉浦康平さんにしても、昨年お会いする機会があった松田行正さん(彼が手掛けている「デザインの現場」「Inter Communication」は長年読んでおり、「10+1」もたまに読むので、お会いできてうれしかった)にしてもそうだけど、ものすごく本を読んでいるし、それに対するこだわりも強い。ついでにライターより遥かに文章もうまいし、批評の眼も持っている方々だ。いろんな話を伺っていると、活字離れで本が売れないという前に、作る側からして活字離れしているんだよなあと思う。ガツンとパンチのあるビジュアルに引っ張られて「どうせ字は読まないし」って思って作っていないだろうか。「誰も読まないからいいのだ」って言ってしまえるベテランライターさんがいて、唖然としたことがあった。

各誌のデザインを見ながら「時代は変わったね」と呟く大御所エディトリアルデザイナーさんを前に、ただ唸るしかなかった。トレンドをすくい取るようなことでなく、もう少し根っこに近い部分から何かを作れたらと思う。今後の課題だ。

ってことを書こうとしたのではなく、何十行もまわり道してるけど、講談社現代新書事件の話だ。その時の事情を追ったブログを発見したのでリンクします。なかなか興味深いという意味で面白いです。
| comments(7) | trackbacks(0) | 01:23 | category: 本の話 |
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コメント
昨年末から「同じ人の仕事か」と見紛うほどよく似た装幀の『はじめての文学』が文藝春秋から刊行されています。味気ないと感じた講談社現代新書の装幀の正方形を丸に変えただけのようなデザインです。デザインしたのは大久保明子さんという方らしく、そっくり真似たというわけではないにしろ、同業者のモラルとしていいのかなと部外者の私などはいらぬい心配などしてしまいます。
ただご紹介下さったサイトなどを読むと、本の内容とは完全に無関係でもいいと考えている中島氏のものが、結果的に何の魅力もないものになってしまっているのに対し、『はじめての文学』の方は一人一人の作家の絶大なる存在感がデザインに力を与えているようで、まとめて並べておきたいと思わせるものになっているのは皮肉です。
興味深い話を教えて下さり、感謝します。
| morio0101 | 2007/03/12 10:53 PM |

『はじめての文学』は本屋でチラと見るだけでしたが、たしかに似てるかも。
中島氏のインタビューを読むと「ほかが明朝だからゴシックにしよう」とか、小手先の奇をてらった感が哀しいです。

>『はじめての文学』の方は一人一人の作家の絶大なる存在感がデザインに力を与えているようで、

ははあ!面白い視点ですね。
そういうのあるかもなあ。

判型は異なりますが、プチグラが出してる「あたらしい教科書」シリーズも大きくわけると似てる気がします。
よくわかりませんが「今風の教養」みたいなものを形にしようとすると、ああいうデザインなんですかねえ。
(先日「あたらしい教科書11 民芸」を買ってしまいました)

全然余談なんですけどね、先ほどあるイメージをgoogleで探してたんですが、たくさんの画像が出て来る中で一際ステキな画像があり…morioさんの針穴作品でした!

| タコ | 2007/03/12 11:57 PM |

ごめんね、同じような仕事してるのに、仕事へ態度が甘ちゃんで
普段全然気にもしてなかった(かなりヤバイか)てへへ。
けど、僕の手元には、毎月あらゆる出版社からの新書が届けられる
ある意味、恵まれた立場で、あんたのお陰で改めてすべての装丁を見たよ。
岩波新書、中公新書の「格式」から、みんな逃れようとしてんのかな?
素人目には、講談社と幻冬舎新書が、まったく同じ方向向いちゃってる気が。
ごめん。ごめん。こんなバカ丸出しのコメントしちゃって。

あっ!ちなみに「ソウテイファン」サイトに載っていた、うちの会社の書籍のデザイナーは
普段僕に「社内の新しい噂、オイシイネタ何かなーーい」と
いつも聞きに来る人デス。
| マリリン | 2007/03/13 11:32 AM |

そうだったのかぁ。最後に紹介してくれたblogの内容と合わせて、どちらも興味深いという意味で面白く、考えさせられちゃいました。
エディトリアルデザインって難しいよなぁ、と、今さらなことを改めて。

人は慣れてしまうけど失って初めてその価値に気付くとか、新書の重みが減っていく(すごい勢いで)ことについて思うところとか、テキストを書くということへの対価が激減しているのではないか、その片棒は自分も含めてWebが担いでいるのではないかとか色々思うところがあるんだけど今ここに書くことではないような気がしたり。直接会って話したいよー。
| ayano | 2007/03/14 8:05 AM |

>マリリン

やめてよ〜。甘いのはあなた以上です、あたし。
講談社と幻冬舎新書か。見てみる!
貴社の噂好きデザイナーの実名もあとでチェックするわ!
社内なんだね。あの発行サイクルじゃ、そうか。

>ayanoちゃん

エディトリアルデザインについてはねー。
新書の内容だけどねー。テキストのことだけどさー。
あとさ、聞いて欲しいこともあったりね、
と、あたしもここに書くのではなく、
会ってぐだぐだぐだぐだ話したいよ。
色気のあるネタはなく、本の周辺オンリーだけど。
ってことでメールします。


| タコ | 2007/03/14 9:06 AM |

>トレンドをすくい取るようなことでなく、もう少し根っこに近い部分から何かを作れたらと思う。

最近、本当にデザインてそういうことだよなーと
思います。機能してないと美しくないというか。
機能させるためには絶対根っことくっついてないと
いけないし。

自然が美しいのは究極の機能美だからなのかなとも思います。

イトイさんが言う「痛み止めデザイン」の時代は
いつまで続くんでしょうね。
デザイナー個人というよりシステム、必要とされる市場
世の中の動きが根っこのような気がしています。

技術とパワーをつけないと、です。わたし…
思うだけなら誰でも、ですよね、ほんと。
(自分で書いて自分で凹み)
| IDEA file | 2007/03/14 9:40 PM |

イトイ氏の言ってる「痛み止めデザイン」の時代って、
ごめん。知らなかったよ。読んでみるけど、どういうことなんだろう。

>デザイナー個人というよりシステム、必要とされる市場
世の中の動きが根っこのような気がしています。

なるほどー。でもデザイナー本人でないのはたしかだよね。

上の世代は“このデザインにする必然性”みたいなものをものすごく考えていたけど、もしかしたら今はもうそういう時代じゃない。ものすごく感覚的でインパクトのあるものっていうだけで評価していいのかもしれない。パッと見勝負ならば、そっちの方が評価されるし、支持されるかも。でも、なんだかなあと思う。

デザインという視点(?)がマスに拡大していく中で、誰かスター的な人が必要だし、わかりやすさや評価のしやすさも必要だし。
あたし自身は、そういう強さに引っ張られてしまう方だけど(苦笑)。

と、また関係ない話をぐだぐだ長く書いてしまいそうだけど、本職IDEA fileさんのお話をぜひ伺いたかったところだったので、コメントありがとう。

凹まずいこう!あたしにとっても何だか凹む話なんだけど、気づいたら実行することが大事だよ。地道にいこう。
| タコ | 2007/03/15 9:21 AM |

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