金曜の仕事帰りに飲みに行った。飲みながら真面目に「こんな企画はどうだー!」「いやいや切り口はこっちだろー!」とかゲラゲラ笑いながら仕事の話をしていると、お店の人が「お会計を」という。はて?と思いながら時計を見ると電車は運行をやめてしまった時間らしい。カラオケへは行きたくなかったのだが、渋々カラオケ好きの2人に付いてゆく。「どうぞ曲をどんどん入れてください」と言ったのにも関わらず、なぜかあたしがマイクを握り続けている。不思議な夜だった。
朝まで帰り、首尾よく1駅乗り過ごすだけで家に着く。ちょっと寝て、待ち合わせしてごはん食べてビール飲んで国立博物館で開催中の北斎展へ乗り込む。40分待ちだという。40分待って入ったらどういう状態なんだろうか。
不安に思ってチケット売場に並ぶと、2回セットのチケットだと安いということがわかった。しかし会期は来週まで。一緒に行ったメンツはツガイが2組。独身者には高い金を払わせるニッポン国立のミュージアムである。きっと少子化対策が作動し、独身税なるもののテストとして行なわれているに違いない。よく見るとチケットは前売り券を書き換えただけ。当然値段も変わっている。バリバリな被害妄想を抱えながら列へ並ぶと、500点の展示とうたいながら、今日見れるのは300点であることを知る。つまり2回見ないと全部は見れないわけだ。北斎展の話はきっといつか書くので割愛。
北斎展が終わってから上野動物園で1時間弱動物を見て、それから大好きなツガイの行き付けのお店へ行く。とても素敵な店だった。どう素敵だったか今は書けない。なぜなら2人にメールを打ってしまったから。2人にだけあたしの感想が伝わればいいのだ。そしてまるで謀ったかのように終電がなくなり、2人の家に泊めてもらう。数年来、行きたくてしょうがなかったおうちだ。2人の摩訶不思議なワールドがそこに広がってるのは知ってたし、あたしが大好きなものもいっぱいあるに違いないのだ。
おうちへ行く途中、15分か20分ほど歩く。くにゃくにゃと曲がった道路を歩き、上ったりくだったり、へんてこなおうちを通り抜け、いきなり大きくまんまるに開けた公園に出た。うちの方より星がいっぱいある。まんまるに開けた公園の向こうには高い建物がいっぱいある。見上げていたら数時間に渡るアルコールが効いてきてポケッと吐く。
お友達のおうちに行ったら、お友達の作品がいっぱいあり、素敵な本がいっぱいあり、素敵な趣向がいろんなとこにある。これも自分だけが記憶してればいいので割愛。もうなんだかうれしくて仕方なく、うれし過ぎて小さく固まっていると眠くなってきた。あたしが大好きなフ○ーク○の写真集を枕元に置いて、その部屋の住人のような素敵な夢を見るはずだったが、さっぱり夢は覚えてない。頭が2つある人の脳はどうなってるんだろうか。
次の日も朝から飲んだ。ジャズ、フレンチ、ボリウッドなどチャンポンに聴きながら酔う。美味しいインド料理を食べてお別れ。でも酔いの残る身にインド料理はきつくなくなかったようだ。
だいぶ遅れて次なるツガイの家へ向かう。短い道のりで、しかも駅から遠くない道なのに、途中でまたポケッと吐く。白昼堂々、人の家の植え込みに向かってだ。ひどい。でも初めて行くおうちでやるよりよいのだ。と思うことにした。
こちらは新婚ホヤホヤ(でもないか?)。再来月にベビーが産まれるおうちだ。デザイナーズな感じの素敵なアパルトマン。やはり天井が高くインテリアも素敵だ。昨日泊まったおうちとはベクトルが違う素敵さで、おうちで柔らかく丸いイメージだ。なんだか初めて来た気がしない。そのうちに、あれは妊婦効果だろうか。胎内にいるような心地よさを感じて眠くなった。お日さまが沈む前に初めて行ったおうちで、初めて出会うダンナさんもいるのに、さっさと寝ました。すみません。寝ている間になんだか頭の上で数年来ずーっと聞き続けているような声がキンキン聞こえていた。起きたり眠ったりを繰り返し、完全に目が覚めたところで完全にスッピンで出歩いていたことを思い出した。
そのうち台所でトントントントンと小刻みなリズムが聞こえてきた。手伝いましょーかーって聞いたら、いいです、というのでいいのかと思い、おなかの大きい未来のママを立たせっきりにしてしまう。ごめんね。ダンナさんも楽しい人で、自分も数日間酔っているにも関わらず、ダンナさんの酔いっぷり、顔の変化を楽しく観察していた。いっぱいかっこいいブリティッシュなDVDを見て、ブリティッシュな音楽を聴き、気持ちよく酔う。そう。さらに飲み続けたすごいプラズマTVだった。お父さんもお母さんもナチュラルで素敵だし、来年ここのおうちの子供として産まれてくる男の子は幸せに違いない。来年産まれる男の子の中身は実はあたしです、などと思ったが、そんなのは酷いことなのでやめておこう。
まんまるのお腹を触らせてもらった。とてもかわいい。帰り道、束の間の幸せと距離を置いちまってる独身男と夜道を歩きながら、ツガイっていいなあと思う。アンタにもアタイにも、いつか素敵な日が来るさ。そしたらダブルツガイで遊ぼうね。カズヲ。まんまるのおなかの感触は未だに手のひらに残っている。家に帰ってまんまるのお腹を触った話を母にしたら、どうやらあたしは1才数カ月の時、弟の入ったまんまるのおなかを触ったのが人生初のまんまるおなか体験だったらしい。「あ、うごいたよぉ!」とか目をまんまるにして驚いていたらしい。そんな可愛らしかった子供も飲んだくれのダメオトナになりました。ごめんなさい。
週末の酒を体内に残して、また新しい一週間が始まった。胃腸は元気です。とは言いがたいのだが、妙に幻のようだけど実もある幸福感に包まれいい感じです。酒が抜けていないわけではありません。だって今も注入してるし。